コエンザイムQ10に即効性があるのか
効果が現われるまでには一定の時間がかかる
疲労回復や老化予防に効果的なコエンザイムQ10は、サプリメントから気軽に摂ることができる健康成分です。とはいえ摂ったからといってすぐに効果が現われるわけではありません。
経口摂取したコエンザイムQ10は小腸から吸収され、リンパ液に放出されてから血流に乗ってまず肝臓に運ばれます。その後、血液中のコエンザイムQ10濃度が少しずつ上昇し、最も高くなるのは摂ってから約6時間後です。
効果が現われるまでにかかる時間には個人差があります。いずれにしてもあまり即効性は期待できません。
摂ってから数時間で実感できる疲労回復効果
コエンザイムQ10には疲労回復、血流改善、抗酸化作用、アンチエイジングなどさまざまな効能があります。その中でも最も早く実感できるのが疲労回復効果です。個人差はありますが、早い人は摂ってから2時間程度で効果が現われます。
仕事や家事、スポーツなどの疲れを回復させるために摂る場合は、効果を得たいタイミングに血中濃度が上昇するように逆算して摂取しましょう。
効果が現われたときに起こる体の変化
コエンザイムQ10を摂ったら体調をよく観察してください。しばらくすると少しずつ体調に変化が現われます。
コエンザイムQ10が効いてくると、まず手足がポカポカと温かくなり疲労感が少しずつ取れてきます。また下半身のむくみが解消されます。夜間頻尿によって熟睡できなかった方はぐっすり眠れるようになります。
まずは2週間摂り続ける
続けることが大切
コエンザイムQ10は即効性が期待できないため、効果を実感するためには一定期間摂り続ける必要があります。疲労回復効果は比較的早く実感できます。しかし、血流改善、抗酸化作用、美肌効果などを実感するためにはある程度の期間摂り続ける必要があります。
コエンザイムQ10は体内のエネルギー産生の効率を高めることで、体全体に十分なエネルギーを行き渡らせ、さまざまな不調を改善してくれます。
摂り続けることで心臓機能が回復して血流が整えられると、慢性疲労、だるさ、倦怠感、虚弱、むくみなどの体質を改善することも可能です。そのためにはとにかく毎日摂り続けましょう。
目安は2週間
効果を実感するための目安は2週間です。成人男性にコエンザイムQ10を1日3回摂ってもらったところ、2週間後に血漿中のコエンザイムQ10値が約2.2倍に上昇したという報告があります。またこの研究では、摂取を中止すると約1週間で血漿値が元の状態に戻ることも確認されています。(参考元1)
つまりコエンザイムQ10の効果を十分に引き出すためには最低2週間程度摂り続ける必要があります。短期間摂ってちょっと体調が良くなっても、摂るのを止めてしまうと1週間で元の状態に戻ってしまいます。
2週間摂って目的の症状が改善された場合は、摂取を止めることもできます。もし2週間摂っても全く効果が実感できない場合は、自分の症状に合っていない可能性があります。かかりつけの医師やコエンザイムQ10に詳しい薬剤師に相談してください。
少しでも早く効果を実感するためには
食後に摂る
脂溶性のため吸収に時間がかかる
- 詳しい情報(クリック)
-
コエンザイムQ10は特殊な加工を行わない限り、油に溶ける脂溶性です。肉類や油脂に含まれる脂質の一種です。脂質は小腸で吸収される際に胆汁酸で乳化する必要があります。
ですから他の栄養素よりも吸収に時間がかかります。また吸収率も良くありません。コエンザイムQ10の吸収は脂質と同じ経路を辿ると考えられています。
つまりコエンザイムQ10は吸収がとても悪いのです。優れた効能を持つ成分でありながら、効果を実感するまでに時間がかかるのはそのためです。
吸収を良くするために食後に摂る
- 詳しい情報(クリック)
-
少しでも吸収を良くして早く効果を実感するためには食後に摂る必要があります。胃と腸が食べ物で満たされた状態であれば、消化器官に負担がかからないため、比較的スムーズに吸収されます。
逆に空腹時に摂ると消化管が空の状態のため、十分に吸収されずに効果が半減してしまいます。サプリメントの場合は決められた量を2~3回に分けて、食事の後に摂りましょう。1日2回なら朝食後と夕食後、1日3回なら毎食後です。
油ものと一緒に摂る
- 詳しい情報(クリック)
-
脂溶性のコエンザイムQ10は、こってりした食事と一緒に摂ると、少しですが早く吸収されます。肉料理や揚げ物、中華料理などと一緒に摂ると良いでしょう。
他の成分と一緒に運ばれることで胃腸にかかる負担がやわらぎます。ただし食べ過ぎは胃腸に負担をかけてしまいますから程ほどに。
水溶性のサプリメントを摂る
- 詳しい情報(クリック)
-
コエンザイムQ10は、胆汁酸で乳化させて、ミセルという水に溶ける構造に変化することで吸収されます。そこで近年では予め植物性油脂に溶かしてから、乳化させてミセル構造を作る水溶性のコエンザイムQ10が開発されています。
水溶性にすることで効率よく吸収され、より早く効果を実感できるのがメリットです。水溶性は食後に摂る必要がないため、いつ摂っても効果を実感することができます。
参考元1:コエンザイムQ10の基礎と応用 コエンザイムQ10協会編 丸善出版