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コエンザイムQ10は年齢とともに減少する

体内には約700mgのコエンザイムQ10が蓄えられている

私たちの体は60兆個もの細胞によって作られています。この細胞一つ一つにはミトコンドリアと呼ばれる小器官が存在し、体内で使われるエネルギーの95%以上を作り出しています。
コエンザイムQ10はミトコンドリアの働きを助ける補酵素です。健康な成人の体内には約700mgのコエンザイムQ10が蓄えられています。(参考元1)
その分布量は臓器によって異なります。最も多く蓄えられている臓器は心臓で、次いで腎臓、肝臓、脾臓、膵臓、副腎、肺の順です。
エネルギー産生効率を高める働きをするコエンザイムQ10は、活発に代謝を行う器官ほど多く必要としています。

加齢によって減少するコエンザイムQ10

体内のコエンザイムQ10の量は20歳前後がピークであり、その後は加齢によって減少に転じ、40代に入ると減少のペースが大きくなります。
減少率は臓器によって異なり、20倍近くの差があります。最も減少率が高いのは24時間365日休みなく稼動し、他の臓器とは比べ物にならないほど多くのエネルギーを消費する心臓です。
心臓内のコエンザイムQ10はピークの20歳と比べて、40歳では30%、80歳では50%以上が減少してしまいます。

コエンザイムQ10は全ての細胞で生合成されています。ところが年齢を重ねると細胞の力が衰えるため生合成する量が減ってしまいます。
また若い間に活発に代謝を行うことで多くのコエンザイムQ10を消費してしまうことも、減少の原因と考えられています。

20歳を100として80歳においての平均的なコエンザイムQ10の量(参考元2)
肝臓 83
腎臓 65.3
51.7
心臓 42.9

加齢によって酸化型が増えて還元型が減る

酸化型と還元型

コエンザイムQ10は大きく分けて酸化型と還元型があります。酸化型とは空気に触れて酸化した状態でオレンジ色をしています。
一方の還元型は酸化していない状態で白い色をしています。このうち私たちの体内で利用できるのは還元型のみです。ただし酸化型であっても還元酵素によって還元型に変換されることで利用することができます。

加齢によって減少する還元型

体内のコエンザイムQ10の量を調べる場合、血液中の濃度を測るのが最も簡単な方法です。健康な成人では血漿中のコエンザイムQ10値が平均0.77μg/mlであり、年齢が上がっても大きな変化はありません。(参考元3)
このうち97%以上(20~39歳)を還元型が占めています。ところが年齢を重ねていくと血漿に含まれる還元型の割合が低下し、60歳を過ぎると95%前後まで還元型の割合が低下してしまいます。(参考元4)
代わって増えるのが酸化型です。1~2%程度の差のため「なんだたいしたことないじゃないか」と思われる方もいるでしょう。
しかし、全身の血液の量を考えれば1~2%低下しただけでも影響は小さくないのです。利用できるコエンザイムQ10の量が減ることで、エネルギー産生効率が低下してしまいます。

加齢によって酸化型から還元型に変換する力が落ちる

人間の体で利用されるコエンザイムQ10の約半分は体内で生合成され、残りの半分は食品から摂取する必要があります。幸いなことにコエンザイムQ10は私たちが日常的に口にする肉や魚などさまざまな食品に含まれています。
ところがこれらの食品に含まれるコエンザイムQ10のほとんどが酸化型です。ですからせっかく食事でコエンザイムQ10を補っても、体内で還元酵素によって還元型に変換する必要があります。
しかし、加齢によって還元型に変換する力が落ちるため、結果として酸化型の割合が増加してしまいます。酸化型は体内で利用することができないため、時間が経つと尿や便と一緒に体外に排出されてしまいます。

加齢による酸化ストレスの増加が酸化型を増やす

還元型コエンザイムQ10の割合が低下する原因は、加齢によって体内で増える活性酸素です。
私たちは酸素を取り込むことで細胞を動かすエネルギーに変えて生命を保っています。
一方で取り込んだ酸素のうち最大5%程度が活性酸素に変わります。体内で活性酸素が増えると、細胞や血管を酸化させてダメージを与えてしまいます。この現象を「酸化ストレス」と呼びます。

とはいえ酸化ストレスを抑える方法がないわけではありません。私たちの体内では、ビタミンC、ビタミンE、そしてコエンザイムQ10といった「抗酸化物質」を働かせることで、余分な活性酸素を除去しています。
ところが加齢によってこれらの抗酸化物質が減少するため、不足しがちになります。そのため中高年世代になると体内の酸化ストレスが高まり、還元型コエンザイムQ10を酸化させると考えられています。

減少したコエンザイムQ10を食事で補うのは大変

コエンザイムQ10は肉や魚、野菜、油脂類などさまざまな食品から摂ることができます。私たちは特に意識していなくても、毎日の食事からコエンザイムQ10を摂っています。
「食事で摂れているなら不足することはないのでは?」と考える方も居るでしょう。ところが一つ一つの食品に含まれるコエンザイムQ10の量はあまり多くありません。
日本人が食事で摂っているコエンザイムQ10の量は平均6.5mgです。(参考元1)体内に700mgもコエンザイムQ10が蓄えられていることを考えればとても少ない量です。

効率よく摂るならサプリメントがおすすめ

加齢によって減少するコエンザイムQ10を効率よく摂りたい方におすすめなのがサプリメントです。市場にはさまざまな種類のサプリメントが流通しています。
一般的なサプリメントには1日分で60~100mg程度のコエンザイムQ10が配合されています。これを1日2~3回に分けて食後に摂ります。
サプリメントを毎日摂ると一定の費用がかかります。ですが手軽に摂ることができるため続けやすく、なによりも効率が良いのがメリットです。
食品と違ってたくさん摂る必要がなく、味に飽きることもありません。ソフトカプセル、錠剤、顆粒、ドリンクなどさまざまな形状がありますから、自分に合ったものを選びましょう。

参考元1:「コエンザイムQ10」で元気が出る、病気が治る! 永田勝太郎著 日本文芸社
参考元2:A Kalen et al.,Lipids.24.579-584(1989)
参考元3:コエンザイムQ10の基礎と応用 コエンザイムQ10協会編 丸善出版
参考元4:研究情報③ 血漿中還元型CoQ10の割合は加齢によって低下する

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