コエンザイムQ10の製造方法

化学合成する方法の場合

コエンザイムQ10は化学合成することができます。タバコなどの植物に含まれるソラネソールやイソプレニルアルコールに、コエンザイムのベースであるイソプレンを追加して作り出します。
化学合成の大きなメリットは生産にかかるコストを抑えられる点です。一方で人工的に合成しているため、効果は微生物から培養した天然由来のものより劣るとされています。

微生物から培養する方法の場合

酵母や大腸菌を用いる

現在、医薬品や健康食品に配合されているコエンザイムQ10の多くは、酵母や大腸菌による発酵によってコエンザイムQ10を培養し、抽出しています。
酵母はパン、味噌、醤油、清酒、ワイン、ビールなど、私たちの口にする多くの食品を作る微生物です。酵母には芽が発芽する出芽酵母と細胞分裂によって増殖する分裂酵母があります。
大腸菌は人間や動物の大腸に生息している細菌です。一般的には悪玉菌として知られていますが、大腸菌の多くは普段は無害であり、ビタミンの合成や消化吸収を助ける働きをしています。

2種類の培養方法

(1)コエンザイムQ10を作り出す酵素を植え付ける方法

このうち出芽酵母と大腸菌は、酢酸菌などのコエンザイムQ10を作り出す微生物由来の酵素(デカプレニル2リン酸合成酵素)を植え付けることで、本来は合成できないコエンザイムQ10を作り出しています。
出芽酵母からはコエンザイムQ5からQ10までのさまざまなコエンザイムの生産に成功しています。この技術がさらに発展し、酢酸菌由来の酵素をイネで発現させて、米でコエンザイムQ10を生産することにも成功しています。

なお、コエンザイムとは5個の炭素からなるイソプレンという化学構造であり、このイソプレンが10回繰り返される物質がコエンザイムQ10です。

(2)もともとコエンザイムQ10を生産する分裂酵母から培養する方法

一方でより効率的にかつ純度の高いコエンザイムQ10を生産するために、もともとコエンザイムQ10を生産する微生物である分裂酵母で培養する方法が模索されてきました。
分裂酵母は人間の体内で合成されるヒト型と同じコエンザイムQ10を合成する最適の微生物と言われています。分裂酵母を使うことで人間の体内に存在するのと同じコエンザイムQ10を生産することができるのが大きな利点です。

コエンザイムQ10の製造工程

ある大手原料メーカーでは、以下のような工程で酵母からコエンザイムQ10を抽出して製品化しています。

発酵工程 → 抽出工程 → 精製工程 → 晶析工程 → 製品

まず、発酵工程でミトコンドリアが作り出し、酵母菌体に蓄積されたコエンザイムQ10を抽出します。次に精製工程で不純物を取り除いて純度を高めていきます。
晶析工程ではさらに純度を高めて結晶化させて混じり気のないコエンザイムQ10を作り出し、乾燥させて粉末にすると製品になります。

生産性の向上を阻む障害

コエンザイムを生合成できない欠損株の存在

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これまでの研究ではコエンザイムQ10の合成には最低8種類の酵素が必要であることが分かっています。ですが生合成経路が完全に解明されているわけではありません。
分裂酵母を発酵させてコエンザイムQ10を培養する場合に問題となるのが、増産を阻む遺伝子である「コエンザイム遺伝子欠損株」です。

実は酵母の全てがコエンザイムQ10のベースとなるコエンザイムを生合成できるわけではなく、中にはコエンザイムを全く合成できない欠損株が存在していることが分かっています。生産性を向上するためには、欠損株を特定して取り除く必要があります。

増殖を阻む遺伝子や変異体の存在

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さらに分裂酵母が持つコエンザイム遺伝子を過剰に発現させると、増殖阻害を引き起こすことがあります。これはミトコンドリア内に存在するたんぱく質が増えることで、細胞の増殖を抑えているためです。
コエンザイムQ10の生産性を向上させるためには、欠損株だけでなく増殖阻害を引き起こす変異体も取り除く必要があります。
食品に含まれるコエンザイムQ10の量が少ないのは、この増産を阻む遺伝子や変異体の影響と言えます。生産を考えた場合に生合成経路を完全に解明する必要がありますが、未解明な部分があり、そのことが生産性の向上を妨げているのです。

生産性を高める技術が開発されている

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そこで機能性食品の研究開発を行う島根大学では、化学メーカーや国の研究機関とも連携して、コエンザイムQ10の生産性を高める技術の研究を進めています。

島根大学生物資源科化学部の川向誠教授はコエンザイムQ10の生産性を従来の3倍に増大させた分裂酵母を開発しました。
川向教授は遺伝子工学の技術によって、コエンザイムQ10の増産を阻む遺伝子や変異体を特定し、これらを取り除いた酵母でコエンザイムQ10の培養に成功しました。
なお増産を阻む遺伝子や変異体は公表されていません。この技術が実用化されることで、酵母の開発や生産にかかるコストが下がり、従来の最大6倍まで生産性を高められるとしています。
高品質なコエンザイムQ10をより低コストで生産することができれば、市場競争力が高まり、サプリメントなどの商品がより低価格で消費者に提供されることになります。

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