コエンザイムQ10とグレープフルーツジュースの飲み合わせ
グレープフルーツジュースはコエンザイムQ10の作用を増強する可能性がある
体の疲れを取り抗酸化作用が期待できるコエンザイムQ10は、サプリメントから気軽に摂れる成分として人気があります。
そこで気になるのが薬や飲料との飲み合わせです。特にグレープフルーツジュースとの飲み合わせには注意が必要です。
グレープフルーツジュースには代謝酵素の働きを阻害する作用があり、コエンザイムQ10の作用を増強する可能性があります。
強い作用は体を刺激するため、副作用が引き起こされる恐れがないとは言えません。コエンザイムQ10とグループフルーツジュースは時間をずらして摂りましょう。
代謝酵素の働きを阻害するグレープフルーツジュース
グレープフルーツの果実の部分には「フラノクマリン」という成分が含まれています。このフラノクマリンには小腸の上皮で働く代謝酵素を阻害する作用があります。
その結果として、一緒に摂った成分の吸収量が増えて血中濃度が上がりやすくなります。このようなことから医薬品とグレープフルーツを一緒に摂るのは避けたほうが良いとされています。
特に100%のグレープフルーツは果実の成分が濃縮されているため、フラノクマリンが多く含まれています。
なおフラノクマリンは皮の部分には含まれていませんが、果実の部分を食べる場合はジュースと同じ作用があるため注意が必要です。
コエンザイムQ10の作用を増強する可能性がある
コエンザイムQ10はもともと心臓機能が低下する「うっ血性心不全」の治療薬として開発されました。後に健康食品として認可され、今日ではさまざまな種類のサプリメントが販売されています。
とはいえ医薬品に使われている成分であることに変わりはありません。医薬品と同じようにグレープフルーツジュースとの飲み合わせには注意が必要です。
コエンザイムQ10はまず小腸で吸収され、リンパ管に放出されてから一旦肝臓に回収され、血流に乗って全身に運ばれます。
このときにコエンザイムQ10の血中濃度が上がります。ところがグレープフルーツジュースを一緒に摂ると、代謝酵素の働きが抑えられ、小腸で代謝される割合が低下してしまいます。
それによってコエンザイムQ10の血中濃度が急に上がり、作用が増強される可能性があります。
血圧を下げる薬を服用している方はグレープフルーツジュースを飲まない
グレープフルーツジュースは血圧を下げる薬である「カルシウム拮抗薬」の作用を増強します。飲み合わせによって血圧が必要以上に下がりすぎ、体調が悪化する恐れがあります。カルシウム拮抗薬を服用している方は、グレープフルーツジュースを飲まないようにしてください。
コエンザイムQ10も血圧に作用するため、さらに薬の作用を増強する可能性があります。コエンザイムQ10とカルシウム拮抗薬の併用も注意が必要です。
作用は2~3日続く可能性がある
グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンの作用は、2~3日続く場合があると言われています。
コエンザイムQ10と一緒に摂るのはもちろん避ける必要がありますが、別々に摂った場合でも影響が出る可能性は否定できません。
あまり神経質になる必要はありませんが、副作用が発生しないようにできるだけ摂る時間をずらしましょう。
グレープフルーツジュースがコエンザイムQ10の吸収を促す
脂溶性のコエンザイムQ10は吸収率が低い
コエンザイムQ10は製造段階で特別な加工を行わない限り、脂に溶ける脂溶性で、脂質の一種です。脂質は胆のうから分泌される胆汁酸で乳化してから吸収する必要があります。
そのため脂質は吸収効率の悪い栄養素の一つです。脂溶性のコエンザイムQ10の吸収率は10%程度とされています。(参考元1)
コエンザイムQ10の吸収を促す作用が期待できる
グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンによって、コエンザイムQ10の作用が増強される可能性があります。ですがこれは吸収を促す作用があるということでもあります。
脂溶性のコエンザイムQ10はもともと吸収率が低いため、グレープフルーツジュースによって吸収率を高める効果が期待できます。
ただし吸収率が高まることで腸に負担がかかる可能性もあります。体を刺激しないように、グレープフルーツジュースを飲む量を少なめにして、時間をずらして飲みましょう。
サプリメントは水と一緒に飲む
医薬品もサプリメントも水またはぬるま湯と一緒に飲むことを想定して作られています。グレープフルーツジュースと一緒に飲むと、吸収や作用に影響して本来の効果が得られない可能性があります。
脂溶性のコエンザイムQ10の吸収率を高める目的でグレープフルーツジュースを飲む場合は、時間をずらして別々に摂りましょう。
参考元1:「コエンザイムQ10」で元気が出る、病気が治る! 永田勝太郎著 日本文芸社