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コエンザイムQ10の歴史

コエンザイムQ10の発見

きっかけ

コエンザイムQ10が日本で知られるようになったのは2000年代初頭のことですが、発見されたのは半世紀以上も前のことです。

そのきっかけは1950年代初頭まで遡ります。イギリスのリバプール大学で脂溶性ビタミンやコレステロールを研究していたモルトン教授のグループは、動物の臓器に含まれる不ケン化物(脂溶性ビタミンやコレステロール、色素など)からある化合物を抽出しました。
その化合物は馬の胃と腸、豚の腸、ラットの肝臓や腎臓に存在し、生体の細胞全てに存在するキノン構造を持つ物質であることが分かりました。
そしてキノン構造が生物界に広く存在することから、「どこにでも存在する」という意味のラテン語であるユビキタスと、キノン構造のキノンを合わせて「ユビキノン」と命名しました。

発見

ミトコンドリアの研究がコエンザイムQ10の発見に繋がる

1956年、アメリカのウイスコンシン大学酵素研究所でクレイン教授のグループは、ミトコンドリアがATP(アデノシン3リン酸)を作り出すメカニズムについて解明しようと研究を続けていました。
ミトコンドリアが作り出すATPは全ての生物の生命活動に必要なエネルギーです。このエネルギーはミトコンドリア単体で作り出しているのではなく、何らかの酵素が関与していると考えられていました。
クレイン教授らは、さまざまな界面活性剤を使って細胞から酵素を一つ一つ分離して調べましたが、それらを繋ぎ合わせても何かが足りません。そこで脂質の役割に着目します。このアイデアこそがコエンザイムQ10の発見に繋がります。

ミトコンドリアからコエンザイムQ10が発見される

1956年12月3日、クレイン教授らはミトコンドリアから黄色い成分を取り出すことに成功しました。この成分はケトンと呼ばれるY字型の構造を二つ持つキノン体だと考えられ、後にコエンザイムQ10と命名されます。
クレイン教授はモルトン教授と手紙のやりとりを行い、両者が発見した物質は同一かよく似た構造を持つ類似化合物との結論で一致しました。
その後の研究で、クレイン教授らはコエンザイムQ10はミトコンドリアがATPを作り出すために重要な働きをする成分であることが明らかになります。

このようにコエンザイムQ10の発見は、イギリスのモルトン教授のグループとアメリカのクレイン教授のグループが大きな貢献をしました。

1957年、クレイン教授らが行った実験結果をまとめた論文が科学雑誌であるBBA誌に掲載されます。1958年、コエンザイムQ10の化学構造が決定します。

心臓病の薬として認められる

当初は心臓への効果が注目されていた

詳しい情報(クリック)

コエンザイムQ10が発見されると、ミトコンドリアが作り出すATPが注目されさまざまな研究が行われるようになります。
日本でコエンザイムQ10は、心臓病の治療薬として開発が進められてきた経緯があります。これは生きている限り休みなく稼動し続ける心臓が、最も多くのATPを消費するためです。
大阪大学の故山村雄一教授のグループが率先してこの研究を行いました。ほかにもさまざまな研究者が盛んに研究を行っていて、それは今日まで受け継がれています。
このようにコエンザイムQ10が持つ効能として最初に注目されたのは心臓病の治療効果でした。

心臓の機能を回復させる薬として認められる

日本では1973年に、医師が使用する心臓の機能が低下する「うっ血性心不全」の治療薬としても認められました。
この薬は大変な人気となり、1980年代初頭には年間600万人の方が服用していました。その後、コエンザイムQ10を配合したさまざまな薬が開発され、その数は今日40種類近くにのぼります。

1991年3月、薬局で自由に買うことができる薬として認められます。とはいえこの当時はまだまだ医師が使う薬というイメージが強く、一部の薬局以外ではあまり普及しませんでした。

食品への使用が認められる

アメリカでは1980年代にはコエンザイムQ10を配合した健康食品が爆発的な人気となり、ブームとなっていました。

日本では医薬品としてのみ認められた期間が長く、一般的にもあまり知られていなかったため長く健康食品として認められませんでした。
しかし、アメリカやヨーロッパの国々で既に健康食品として認められていること、多くの臨床試験によってその安全性が裏付けられたことから、厚生労働省が重い腰を上げます。
2001年6月、厚生労働省医薬局食品保健部が「健康食品に差し支えない」ことを了承し、日本でも健康食品として認められたのです。
その後、2000年代前半にテレビ番組などでコエンザイムQ10の効能が紹介されたことで、健康食品として一躍有名となり、生産が追いつかないほど需要が高まります。

日本でコエンザイムQ10が製造されるまで

コエンザイムQ10の製造に世界で先駆けて成功したのは日清製粉です。なお日清製粉は2001年にグループ化され、コエンザイムQ10の製造は分社化した日清ファルマが引き継いでいます。

小麦胚芽からビタミンの製造に成功した日清製粉

もともと日清製粉は1900年に小麦粉を製造する会社として創業しました。その会社がなぜコエンザイムQ10の製造に世界で最初に成功したのか疑問に思われるでしょう。
小麦粉を製造するために日清製粉では創業当初から機械技術の向上に力を入れてきました。しかし、より質の良い小麦粉を作るためには機械だけでなく、小麦と小麦粉の理化学的研究も重要であることに気付きます。
1914年、本社内に化学実験室を設置し、日本で初めて小麦と小麦粉の化学的分析に着手します。これこそがコエンザイムQ10製造の最初の一歩でした。

1935年、小麦胚芽の研究を開始し、水溶性のビタミンB6を発見します。さらにその合成法を確立し工業化しました。
戦後になると小麦胚芽から脂溶性のビタミンEが発見され、1957年にビタミンEの工業化に成功します。ビタミンEとビタミンKは構造が似ていることから、1963年にはビタミンKの製造に成功しました。

ビタミン製造のノウハウを活かしてコエンザイムQ10の製造に挑む

1964年、日清製粉はビタミンEやビタミンKなどの生産拠点を長野県上田市に移し、コエンザイムQ10の工業化を目指して製法の検討を始めます。
実はコエンザイムQ10はビタミンKと構造が近く、ビタミンEやビタミンKの製造で培ったノウハウを活かすことができたのです。
しかし、ビタミンKの製造技術を活かすためには、コエンザイムQ10のベースであるイソプレン単位を10個持つプレニルアルコールが必要でした。
その調製は困難を極めます。コエンザイムQ10を構成する側鎖部分にあたるプレニルアルコールが自然界に存在しないからです。
そこで蚕糞(桑の葉を食べた蚕の排泄物)の不ケン化物からイソプレン単位を9個持つソラネソールを抽出する方法に辿りつきます。コエンザイムQ10の合成に必要なプレニルアルコールは、ソラネソールから数工程で合成することができます。

原料の調達が課題に

コエンザイムQ10をg単位で作り出すことができるようになったことで、研究はさらに進んでいきます。
1966年、日清製粉は製薬会社のエーザイと医薬品開発のための共同研究契約を結びました。日清製粉の役割はコエンザイムQ10の安定供給です。

ところがコエンザイムQ10の合成に必要なソラネソールは、桑の葉由来の蚕糞不ケン化物に僅か2%程度しか含まれていません。
コエンザイムQ10の量産化には、原料を蚕糞に依存するわけにはいきませんでした。そこで他にもソラネソールを含む植物はないかと、数十種類の植物の葉を調べた結果、じゃがいもの品種である馬鈴薯とタバコの葉にソラネソールが含まれていることを発見します。
しかも工業的に採取できる十分な量のソラネソールが含まれていたのです。

しかし、馬鈴薯は大量集荷と乾燥貯蔵の面で問題がありました。一方のタバコは日本で専売品であったため、コストの面で利用は不可能でした。
そこで利用できるタバコの葉を探したところ、インドや東南アジアのタバコ産地で捨てられているクズタバコに白羽の矢が当たります。
このクズタバコにはソラネソールが十数%も含まれていたのです。ここにコエンザイムQ10量産化の道が開かれました。

高純度化と量産化に成功する

しかし、まだ課題がありました。クズタバコには多くのソラネソールが含まれているとはいえ、不純物を取り除かなければ質の良いコエンザイムQ10を作れません。
試行錯誤を重ねた結果、蒸留と結晶化の工程を工夫することで純度90%のソラネソールを抽出することに成功します。最終的には医薬品としても使用できる純度のコエンザイムQ10の製造に成功しました。

高純度のコエンザイムQ10の量産が可能になったことで、1966年、世界で初めてコエンザイムQ10の量産化に成功しました。
1973年、コエンザイムQ10の製造許可を取得すると、翌1974年にコエンザイムQ10を含む製剤が日本で初めてエーザイから発売されました。
その後もさらに生産効率化を目指して研究を重ね、コストダウンによって今日では医薬品だけでなく安価な健康食品として流通するに至ります。

還元型コエンザイムQ10の製造と普及

酸化型が先に普及した

日清製粉が世界に先駆けて量産化に成功したコエンザイムQ10は酸化型でした。酸化型のコエンザイムQ10は体内で還元型に変換されてから吸収されますが、全てが還元型に変化されるわけではありません。
加齢やストレスによって還元型に変換される割合が減り、多くが吸収されないまま体外に排出されてしまいます。コエンザイムQ10が最も効果を発揮するのは還元型なのです。

2000年に還元型の製造に成功

そこで日清製粉よりも遅れること11年、1977年に酸化型コエンザイムQ10の量産化を開始したカネカでは、1990年代に還元型コエンザイムQ10の製造を検討します。
2000年には還元型から酸化型への酸化を防ぐ技術が開発されました。2006年、日本よりも一足早くアメリカで還元型コエンザイムQ10の販売を開始しました。2007年には厚生労働省の了承を得て日本でも販売を開始しました。

今日では流通する多くの医薬品や健康食品に使われるコエンザイムQ10に還元型が採用され、アメリカと日本以外にも、ヨーロッパ、オーストラリア、韓国など世界中に普及しています。
合わせて臨床研究の対象も酸化型から還元型に移り変わり、その有用性を示す多くのエビデンスが蓄積されています。

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