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不整脈にコエンザイムQ10

不整脈にコエンザイムQ10が有効

体の疲れを取り美容にも良いことで知られるコエンザイムQ10は、もともと心臓病の治療薬として開発されました。
そこでコエンザイムQ10に期待されているのが「不整脈」の症状を緩和する効果です。脈が急に遅くなったり速くなったりして不規則に打つ不整脈は、「心不全」など思わぬ病気が隠れていることがあります。
「動悸やめまいが頻繁に起こる」「ちょっと運動するとすぐに息切れする」といった症状に思い当たる方は、コエンザイムQ10を積極的に摂ると良いでしょう。

心臓機能を強化するコエンザイムQ10

コエンザイムQ10はミトコンドリアの働きを助ける補酵素

私たちの体は約60兆個もの細胞によって作られ、細胞の一つ一つにはミトコンドリアという小器官が存在します。このミトコンドリアは、ATP(アデノシン3リン酸)というエネルギー源を作る重要な役目を担っています。
私たちが生きていくことができるのはミトコンドリアがATPを生成するおかげです。コエンザイムQ10はミトコンドリアの働きを助ける補酵素として存在しています。
コエンザイムQ10があるのとないのとではエネルギー産生効率が28倍も違うと言われています。

体内で最も多くのATPを必要とする心臓

ミトコンドリアが作り出すATPは、活発に代謝を行い消耗が激しい器官ほど多く必要としています。体内で最も消耗が激しい器官は1日に10万回も拍動を行う心臓です。
24時間365日片時も休みなく稼動しつづける心臓は、体内で最も多くのATPを必要としています。

心臓のポンプ機能を強化するコエンザイムQ10

ポンプ機能を支える心筋

心臓は収縮と弛緩を繰り返すことで、血液を大動脈に押し出し全身に循環させています。このポンプの役目を担っているのが心臓の筋肉である心筋です。
脈拍を安定させ不整脈を予防するためには、ポンプ機能を支える心筋に大量のエネルギーを供給する必要があります。心筋細胞にはミトコンドリアが多く存在し、ポンプ機能の維持に必要なATPを作り出しています。

コエンザイムQ10をたくさん供給する必要がある

心筋のポンプ機能を強化するためには、コエンザイムQ10をたくさん供給してエネルギー産生効率を高める必要があります。
コエンザイムQ10の働きによって心筋細胞のミトコンドリアが活性化されることで、多くのATPが作り出されます。
その結果として血液を押し出すポンプ機能が強化され、血流が整えられ脈が安定し、不整脈の予防に繋がります。

不整脈の原因である心不全にも有効

不整脈が発生する原因の一つに、心臓機能が低下する心不全があります。コエンザイムQ10はもともと「うっ血性心不全」の治療薬として開発されました。
コエンザイムQ10によって心臓のポンプ機能が強化されると、血液を押し出す力が回復して心不全の症状が改善されていきます。

心室性期外収縮を緩和するコエンザイムQ10

突発的な発作を繰り返す心室性期外収縮

「心室性期外収縮」は突発的な発作を繰り返す不整脈です。心臓は発電所の役目を担う洞結節という場所から、規則的に電気を送ることで動かしています。
ところが心室性期外収縮では、心室からやや速い間隔で電気が流れる「期外収縮」が起こります。脈が1拍欠けたように感じるため違和感がありますが、心臓が止まるようなことはありません。
それでも人によっては胸の不快感、動悸、低血圧、のどがキュッと締まるような発作に昼夜を問わず悩まされ、日常生活への影響は小さくありません。

心室性期外収縮に対するコエンザイムQ10の効果

コエンザイムQ10には心臓が血液を送り出す心拍出量を上げる働きがあり、心室性期外収縮を緩和する効果が期待されています。

【コエンザイムQ10の効果を示す試験結果】

14~69歳の心室性期外収縮患者15症例に、コエンザイムQ10を1日60~90mg含む医薬品を6~12週間摂ってもらいました。
投薬終了後には4週間の休薬期間を設け、全ての期間でホルター心電図検査(24時間心電図を記録)を行いました。
その結果、15例のうち12例で自覚症状があり、投与6週目には12例のうち9例で自覚症状がなくなりました。なお15例のうち3例では有意な改善が認められず無効と判断されました。
総合的な評価では15例のうち7例(47%)が有効と判断されました。このことからコエンザイムQ10には、不整脈に対する十分な効果が期待できることが分かりました。(参考元1)

不整脈の治療をコエンザイムQ10だけに頼らない

現在は不整脈の治療薬として認められていない

いくつかの研究でコエンザイムQ10に不整脈を緩和する効果があることが報告されています。そのためかつてはコエンザイムQ10を不整脈の治療に用いていました。
しかし、その後に作用に疑問が生じたため、今日では処方箋が必要な医薬品としては認められていません。
不整脈に対する効果を期待してコエンザイムQ10を摂る場合は、主にサプリメントを利用することになります。

コエンザイムQ10と抗不整脈剤を併用する

不整脈の治療をコエンザイムQ10だけに頼るのはお勧めできません。不整脈には脈が遅くなる「徐脈」と速くなる「頻脈」があります。
コエンザイムQ10を摂ると心拍出量が上がるため、徐脈に対しては効果が期待できます。一方の頻脈は興奮状態の心臓を鎮める必要があり、鎮静効果の強い「抗不整脈剤」のほうが適しています。
不整脈が疑われる方はまず病院を受診して医師の指示に従ってください。そのうえで抗不整脈剤とコエンザイムQ10を併用すると良いでしょう。

参考元1:心室性不整脈に対するCoQ10の効果 ●ホルター心電図による検討

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