タバコを吸う方にコエンザイムQ10
タバコを吸う方に摂って欲しいコエンザイムQ10
健康のために禁煙を行う方が増えていますが、その一方でいくら周囲から禁煙を勧められても、タバコを止められないという方が多いのが現実です。
そんな方に摂ってもらいたいのがコエンザイムQ10です。体の疲れを取り、美容にも良いことで知られるコエンザイムQ10がどうして喫煙と関係あるのかと疑問に思う方もいるでしょう。
ですがコエンザイムQ10には、喫煙によって引き起こされる「動脈硬化」を予防する働きが期待できます。
喫煙によって増加する酸化ストレス
タバコの煙に含まれる活性酸素
タバコの煙には体内で有害な働きをする活性酸素が多く含まれています。活性酸素には強い酸化作用があり、細胞や血管を錆つかせてしまいます。
さらに中性脂肪やコレステロールを酸化させて「過酸化脂質」に変えることで、血流を悪化させて動脈硬化を引き起こします。
このように活性酸素によって細胞や組織がダメージを受けることを「酸化ストレス」と言います。喫煙によって体内の活性酸素が一気に増加すると、強い酸化ストレスに晒されることになります。
喫煙によって減少する抗酸化物質
活性酸素を除去する抗酸化物質
酸素は細胞を動かすエネルギー源であり生命維持に不可欠です。喫煙する習慣がない方であっても、呼吸や食事の際に取り込んだ酸素のうち最大5%程度が活性酸素に変わります。
とはいえ私たちの体は酸化ストレスによって細胞が破壊され、動脈硬化が引き起こされるのをただ放置しているわけではありません。
ビタミンC、ビタミンE、そしてコエンザイムQ10といった、抗酸化物質を働かせることで増えすぎた活性酸素を除去しています。
喫煙によって減少するビタミンE
ところが喫煙を行うと抗酸化物質の一つであるビタミンEが大きく減少することが報告されています。これは喫煙によって急激に増加した活性酸素を除去するために、ビタミンEが大量に消費された結果と考えられています。
体内のビタミンEが減少することで、活性酸素の除去が追いつかなくなり、酸化ストレスによる細胞や組織の破壊を防ぐことができなくなります。
優れた抗酸化作用を持つコエンザイムQ10
優れた抗酸化作用
コエンザイムQ10は細胞内の小器官であるミトコンドリアの働きを助ける補酵素です。コエンザイムQ10の働きは主に二つです。一つは代謝活性を高める作用、そしてもう一つが抗酸化作用です。
細胞内に存在するコエンザイムQ10は抗酸化物質として働いて、体内で増えすぎた活性酸素を除去し、細胞や組織を酸化から守ってくれます。コエンザイムQ10の抗酸化力はビタミンEと同等とされています。
ただし全てのコエンザイムQ10に抗酸化作用があるわけではありません。コエンザイムQ10は大きく分けて酸化型と還元型があります。酸化型とは酸素の影響で酸化した状態です。このうち抗酸化作用を持つのは還元型のみです。
さまざまなことが原因で減少するコエンザイムQ10
体内のコエンザイムQ10は加齢、病気、強いストレスなどの影響で減少することが分かっています。毎日多忙な生活を送る現代人は強いストレスや疲労によって健康状態が悪化しやすく、コエンザイムQ10が不足しやすいと言われています。
加齢や病気によってコエンザイムQ10が不足すると、活性酸素の除去が追いつかなくなり、酸化ストレスによって細胞が破壊され、動脈硬化が進んでしまいます。
コエンザイムQ10を積極的に摂る必要がある
体内の抗酸化物質は活性酸素を除去することで消費されます。先述した通り、喫煙によって体内の活性酸素が急激に増加することで、抗酸化物質であるビタミンEが著しく減少することが分かっています。
コエンザイムQ10も同じように喫煙によって減少することが考えられます。タバコを吸う方は、より多くの抗酸化物質を供給するためにたくさんコエンザイムQ10を摂る必要があります。
ではどれくらいの量を摂れば良いのでしょうか? 健康増進や老化予防を目的とする場合、一般的に1日当たり60~100mgが目安とされています。
ですからタバコを吸う方は1日100mg程度は摂りたいところです。ただしこの量はあくまで専門家が推奨している量であり、厚生労働省がお墨付きを与えているわけではありません。
ビタミンEと一緒に摂ると効果的
コエンザイムQ10とビタミンEは同じ抗酸化物質であり相性の良い組み合わせです。体内で利用される抗酸化物質としてはビタミンCもありますが、水に溶ける水溶性であるため、脂質の酸化を抑制する効果があまり期待できません。
喫煙による動脈硬化のリスクを下げるためには、コエンザイムQ10とビタミンEを一緒に摂りましょう。
コエンザイムQ10を摂ってもタバコの害はなくならない
勘違いしてはいけないのはコエンザイムQ10を摂ったからといって、タバコの害がなくなるわけではありません。喫煙が健康に良くないことに変わりはないのです。
コエンザイムQ10には優れた抗酸化作用があり、喫煙によって体内で増加する活性酸素を除去する働きが期待できます。
とはいえいくら体に良い成分を摂っても、同時に体に悪い物質を取り込んでいては効果が相殺されてしまいます。いわばアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものです。
また喫煙によって引き起こされる症状は動脈硬化だけではありません。ですから健康を考えるなら禁煙が一番ということになります。どうしてもタバコを止められないという愛煙家の方は、1日に吸う本数を減らすことをお勧めします。