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コエンザイムQ10が引き起こす食欲不振や嘔吐

コエンザイムQ10を摂ることで食欲不振や嘔吐を引き起こすことがある

コエンザイムQ10は副作用が少なく安全性の高い成分

体の疲れを取り美容にも良いことで知られるコエンザイムQ10は、サプリメントから気軽に摂ることができる成分です。健康のために摂っている、あるいは摂りたいと考えている方が多いのではないしょうか。
そこで気になるのが副作用です。コエンザイムQ10は1973年に医療用医薬品として販売が認められ、1991年には薬局で誰でも購入できるOTC医薬品として認可されました。
2001年には健康食品として認められ、今日ではさまざまな種類のサプリメントが販売されています。50年以上研究が行われており、十分なデータに基づいて安全性が確認されています。これまでにコエンザイムQ10による死亡事故は発生していません。

稀に食欲不振や嘔吐を引き起こすことがある

とはいえ全く副作用が認められていないわけではありません。医薬品に配合されている成分ですから、場合によっては副作用が起こることがあります。
ではどれくらいの確率で副作用が起こるのでしょうか? 医薬品製剤の副作用の発現率は1.36%でした。このうち胃部不快感、食欲不振、嘔吐、下痢といった消化器症状は0.97%と最も多くを占めています。(参考元1)
ですがいずれも1%前後と低く抑えられていて、サプリメントでも同様であると考えられています。またこれらの副作用はどれも軽い症状であり、重篤な疾患が引き起こされた例はほとんど報告されていません。

食欲不振や嘔吐などの胃腸の不調を引き起こす原因

コエンザイムQ10の摂取によって、食欲不振や嘔吐などの副作用が起こる原因として主に以下の二つが考えられます。

空腹時の摂取

コエンザイムQ10は製造段階で特別な加工を行わない限り脂に溶ける脂溶性で、脂質の一種です。肉類や油脂類に含まれる脂質と同じように、消化には時間がかかり胃腸に負担をかけてしまいます。
そこで体内では胆のうから胆汁酸を分泌することで、乳化させてから吸収しています。胆汁酸は食事を摂ったときに胆のうから腸に分泌されます。逆に空腹時は胆汁酸が分泌されないため胃腸を刺激してしまいます。
もちろん乳化されないわけですから、十分に吸収されず効果が半減してしまいます。コエンザイムQ10によって起こる胃の不快感や食欲不振などの副作用の大半は、空腹時に摂ったことが原因であることが考えられます。

大量摂取

大量摂取で胃腸の症状が引き起こされることがある

コエンザイムQ10を大量に摂った場合、軽度の胃腸の症状を引き起こすことが報告されています。もちろんコエンザイムQ10は安全性の高い成分です。
大量に摂ったからといって必ずしも副作用が起こるわけではありません。むしろ大量に摂っても副作用が起きなかったという報告があります。
アメリカで行われた臨床試験では、パーキンソン病患者に1日1200mgという大量のコエンザイムQ10を投与しましたが、何の副作用もありませんでした。(参考元1)以上のことから大量摂取による副作用のリスクは低いと言えます。

日本で医薬品は1日30mgを摂取量上限と定められている

コエンザイムQ10を配合した医薬品は、厚生労働省によって1日30mgを摂取量の上限とするように定められています。これは厚生労働省が医薬品の過剰摂取を防ぐ目的で厳しく規制しているためです。

サプリメントなどの健康食品は1日300mgまで容認されている

一方で専門家や業界からは「摂取量の上限を引き上げて欲しい」という強い要望があり、内閣府の機関である食品安全委員会で再検討が行われました。
その結果、サプリメントなどの健康食品については、1日の摂取量上限を300mgまで事実上容認されました。なお事業者が安全性を確認するなどの条件がつけられています。
財団法人日本健康・栄養食品協会は「1日摂取目安量として300mgまで安全である」ことを示すデータを提出しています。
しかし、食品として長期間摂取したデータが不足しているという理由で、摂取量についての結論は出されず、事実上容認される形になりました。
ですから1日300mgという摂取量について、厚生労働省が安全性を認めているわけではありません。コエンザイムQ10を大量に摂りたい方は、自己責任で判断してください。

食欲不振や嘔吐などの副作用を予防する方法

食後に摂取する

コエンザイムQ10の摂取によって食欲不振や嘔吐などの副作用が出た方の大半は、空腹時に摂取したことが原因と考えられます。脂溶性のコエンザイムQ10を摂取する場合は、空腹時を避けて食後に摂りましょう。
胃は食べ物で満たされることで胃酸の分泌が穏やかになり、pH(酸性とアルカリ性の度合い)が上がってアルカリ性に近づきます。胃への刺激が緩和されることで胃もたれなどの不調が起こりにくくなります。
腸では食事を摂ることで胆のうから胆汁酸が分泌されます。脂質を消化する際にかかる負担が緩和され、食欲不振などの不調が起こりにくくなります。

水溶性のコエンザイムQ10を摂る

最近では水溶性のコエンザイムQ10が少しずつ増えています。安全性が高いだけでなく吸収率にも優れているため、空腹時でも摂ることができます。副作用が気になる方にお勧めです。

摂取量を少なめに抑える

大量摂取による副作用に不安を感じている方は摂取量を少なめに抑えましょう。ただしコエンザイムQ10は摂取量が少ないよりも多いほうがより高い効果が得られます。
摂取量については得られる効果と副作用のリスクを天秤にかけて判断する必要があります。いくら副作用を予防できても、自分に必要な効果が得られなければコエンザイムQ10を摂った意味がないからです。
そこでお勧めなのが最初は少なめの摂取に抑え、体調に問題がなければ少しずつ摂取量を増やす方法です。なお持病がある方はかかりつけの医師やコエンザイムQ10に詳しい薬剤師に相談してください。

参考元1:「コエンザイムQ10」で元気が出る、病気が治る! 永田勝太郎著 日本文芸社

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