免疫力の低下を防ぐコエンザイムQ10
コエンザイムQ10には免疫力を高める効果があります。
コエンザイムQ10は免疫細胞が働くために必要なエネルギーの産生を促進し、免疫細胞を活性化させます。また、免疫細胞を攻撃する物質を除去したり、感染予防に重要な物質を増やす働きもします。さらにコエンザイムQ10の優れた疲労回復効果も免疫力の向上につながります。
感染症から体を守る免疫システム
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冬になると風邪やインフルエンザが流行します。空気が乾燥する季節はウイルスにとって快適な環境です。とはいえウイルスに感染する人も居れば感染しない人も居ます。
これは免疫力の違いによるものです。私たちの周りにはさまざまな病原体が存在し、食事や呼吸の際に異物として体内に取り込んでいます。
それでも感染を防ぐことができるのは免疫機能が働いているおかげです。そして免疫機能を支えているのは白血球である免疫細胞で、約6割は小腸に集まっています。
小腸ではマクロファージ、リンパ球、好中球、樹状細胞といったさまざまな種類の免疫細胞が連携し、抗体を作り出すことで病原体を排除しています。
さまざまなことが原因で低下する免疫力
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免疫力が低下するとウイルスや細菌に対する抵抗力が弱くなるため、風邪やインフルエンザなどの感染症に罹りやすくなります。
免疫力が低下する原因はさまざまです。高齢者は若い人に比べて病気に対する抵抗力が弱い傾向にあります。これは細胞が老化することで免疫力が低下するためです。一方で若くて元気な人であっても、生活習慣によっては免疫力が低下することがあります。
日常的に強いストレスに晒されている人、不規則な生活を送っている人、食事の栄養バランスが偏っている人、無理なダイエットで体に負担をかけている人は免疫力が低下しやすい傾向にあります。
免疫力の低下を防ぐコエンザイムQ10
免疫細胞にエネルギーを供給して活性化する
コエンザイムQ10がウイルスや細菌に対する抵抗力を高める
コエンザイムQ10そのものにウイルスや細菌を排除する働きが認められているわけではありません。コエンザイムQ10を摂ったからといって必ずしも感染症を予防できるわけではないのです。
ではコエンザイムQ10はどのようにして感染症のリスクを下げるのでしょうか? 免疫細胞が活発に働くためにはエネルギーが必要です。
コエンザイムQ10にはエネルギー産生の効率を高める働きがあります。免疫細胞にエネルギーを供給することで、間接的にウイルスや細菌に対する抵抗力を高めることができると考えられています。
コエンザイムQ10はミトコンドリアの働きを助ける補酵素
私たちの体は60兆個もの細胞から出来ています。このうち免疫細胞が存在する小腸、血管、リンパ節などの免疫器官は約2兆個を占めています。
細胞の一つ一つにはミトコンドリアと呼ばれる小器官が存在し、体を動かすために不可欠なATP(アデノシン3リン酸)と呼ばれるエネルギー源を作り出しています。このミトコンドリアの働きを助けているのが補酵素であるコエンザイムQ10です。
体内のコエンザイムQ10が不足すると免疫力が低下する
ところが体内のコエンザイムQ10は20歳をピークに加齢によって減少していきます。コエンザイムQ10は体内で生合成することができますが、老化によって生合成される量が低下するため不足すると考えられています。
コエンザイムQ10が減少するとエネルギーの産生効率が低下するため、細胞の働きが悪くなります。若い頃に活発だった免疫細胞が加齢によって活性を失っていくのは、コエンザイムQ10の不足が原因の一つです。
免疫細胞が活性を失うと、免疫力の低下に直結するため感染症に罹りやすくなります。
不足しがちなコエンザイムQ10を補い免疫細胞を活性化する
幸いなことにコエンザイムQ10は私たちが日常的に口にする肉や魚など多くの食品に含まれています。とはいえそれぞれの食品に含まれる量は少ないためあまり効率的ではありません。
若くて元気な方であれば体内で生合成される量が多いため、特に意識しなくても必要な分を食事から補うことができます。
しかし、加齢によって生合成される量が減ると、食事から摂る量だけでは不十分です。そこでより効率的にコエンザイムQ10を摂るために、サプリメントを活用しましょう。
食事やサプリメントからコエンザイムQ10を積極的に摂ることで、免疫細胞が活性化されて免疫力の低下を防ぐことができます。
活性酸素を除去して免疫力の低下を防ぐ
コエンザイムQ10の代表的な効能の一つに抗酸化作用があります。体内の余分な活性酸素を除去することで、細胞が酸化するのを防いでくれます。
活性酸素によって細胞がダメージを受けることを「酸化ストレス」と呼びますが、酸化ストレスが増えると免疫機能不全に繋がると考えられています。
コエンザイムQ10の抗酸化作用によって酸化ストレスが軽減されることで、免疫力の低下を防ぐことできるとされています。
ただし全てのコエンザイムQ10に抗酸化作用があるわけではありません。コエンザイムQ10は大きく分けて酸化型と還元型があります。このうち抗酸化作用があるのは還元型のみです。
IgA抗体を増やして感染症のリスクを下げる
IgA抗体とは
ウイルスや細菌の感染を防ぐためには、常に外気と接している鼻や喉、腸などの粘膜が重要な役目を担っています。この粘膜から分泌されているのがIgA抗体です。
ウイルスや細菌などの異物が体内に吸収されないように、IgA抗体が粘膜層でブロックして体外に排出します。つまりIgA抗体の量が多いほど感染症のリスクを下げることができます。
唾液中のIgA抗体を増やすコエンザイムQ10
高齢者になると唾液中のIgA抗体の量が減り、そのことが感染症の罹患率を高める原因の一つになっています。これは活性酸素による酸化ストレスの影響と考えられています。
そこで抗酸化作用を持つ還元型コエンザイムQ10を摂ってもらい、唾液中のIgA抗体の量がどのように変化するのか調べました。
- 【コエンザイムQ10の効果を示す試験結果】
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健康な中高齢者48名を対象に行った試験では、二つのグループに分けて、一方の25名には還元型コエンザイムQ10を1日150mg、8週間摂ってもらいました。
その結果、還元型コエンザイムQ10を摂ったグループでは、摂っていないグループと比べて、唾液中のIgA抗体の量が摂取前よりも有意に増加することが認められました。(参考元1)
コエンザイムQ10の疲労回復効果が免疫力の低下を防ぐ
慢性疲労は免疫力の低下の原因に
免疫力が低下する原因の一つに慢性疲労があります。体に疲れが溜まると免疫細胞の働きが低下するため、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱くなります。
特に体力がない子どもや高齢者は疲労によって免疫力が低下しやすい傾向にあります。また激しい運動を行うと風邪の罹患率が高まりますが、これは運動による肉体疲労が免疫力を低下させるためです。
優れた疲労回復効果を持つコエンザイムQ10
エネルギー産生の効率を高めるコエンザイムQ10には優れた疲労回復効果があります。ミトコンドリアが作り出すATPは活発に代謝を行う器官ほどたくさん必要としています。
体内で最も多くのATPを消費するのは片時も休みなく動き続ける心臓です。コエンザイムQ10を摂ることで心臓に十分な量のATPが供給されると、血液を押し出すポンプ機能が回復して、血流が改善して疲れにくくなります。
参考元1:還元型コエンザイムQ10が中高齢者の口腔免疫能および健康関連QOLに及ぼす効果