妊娠中や授乳中にはコエンザイムQ10を摂っても良いか
妊娠中や授乳中の方はコエンザイムQ10の摂取を控える
コエンザイムQ10は美肌効果が期待できることから女性向けの成分として注目されています。そこで気になるのが妊娠中や授乳中であっても摂ることができるのかという問題です。
結論から言えば妊娠中や授乳中の摂取はお勧めできません。絶対にダメではありませんが、子どもへの影響を考えるなら安易な摂取は控えるべきです。特に妊娠中は些細なことで体調を崩すため、サプリメントの摂取については慎重に判断する必要があります。
コエンザイムQ10の摂取を控えたほうが良い理由
安全性が十分に確認されていない
本来は安全性の高い成分
コエンザイムQ10は非常に安全性が高く、副作用が少ない成分です。これまでに重篤な副作用はほとんど報告されていません。健康な成人であれば摂取によって副作用が発生することは稀です。
妊娠中や授乳中に摂った場合の安全性が確認されていない
ですが妊娠中や授乳中の場合は必ずしも安全とは言い切れません。どのような副作用があり、どれくらいの確率で発生するのかは、動物実験を行ったうえでヒト試験で確認する必要があります。
ところが倫理上の観点から妊婦さんや授乳婦さんを対象とした臨床試験を行うことができません。つまり十分なデータがないため、安全性が確認されていないのです。
妊娠中や授乳中に安全性が確認されていない成分を摂る行為は、自分だけでなく子どもまで危険に晒すことになります。万が一の事態を避けために、摂取は慎重に判断する必要があります。
サプリメントは体を刺激する恐れがある
人間の体内にも存在するコエンザイムQ10は天然由来の成分です。しかし、サプリメントに配合されているコエンザイムQ10は、化学合成または微生物の発酵によって作り出し、小さなカプセルや錠剤に凝縮しています。
つまり自然界には存在しない高い濃度の成分を配合しているのです。ですからいくらコエンザイムQ10そのものが安全であっても、高い濃度の成分を摂ることで体を刺激する恐れがあります。
特に妊娠中の方は小さな刺激であっても体に負担をかけてしまいます。副作用によってお腹の中の子どもに悪影響を与えないために、摂取は慎重に判断しましよう。
そもそも妊娠中の摂取が必要なのか
妊娠中は胎児への影響を考えて日常生活の些細なことまで気を配る必要があり、禁止事項が多くあります。栄養面については食べて良いもの、食べてはいけないもの、どの栄養素をどれくらい摂るかなど細かく指導されます。
コエンザイムQ10は栄養面でどのような影響があるのか十分な調査が行われていないため、妊娠中の摂取の必要性が明らかではありません。
そもそもコエンザイムQ10はビタミンなどとは異なり、体内で生合成することができます。若くて健康な方であれば不足することは稀であり、どうしても経口摂取が必要な成分とまでは言えません。
それでもコエンザイムQ10を摂りたい方は
摂取が禁止されているわけではない
コエンザイムQ10は適切な摂取を行っている限りは安全性に問題はないと考えられています。「体の疲れが抜けない」「血流を改善したい」などといった理由で、どうしてもコエンザイムQ10を摂りたいという方もいるでしょう。
妊娠中や授乳中であっても、摂取が禁止されているわけではありません。
食品から摂取する
健康のためにコエンザイムQ10を摂りたい方にお勧めなのが食品から摂取する方法です。コエンザイムQ10は肉や魚、油脂類など私たちが日常的に口にするさまざまな食品に含まれています。
ただし一つ一つの食品に含まれるコエンザイムQ10の量はそれほど多くありません。ですが妊娠中や授乳中は子どもに栄養を与えるために普段よりもたくさん食べます。そのため必然と多くのコエンザイムQ10を摂っていることが考えられます。
もちろんサプリメントほど効率的ではありませんが、食事内容を工夫することである程度の量を補うことが可能です。食事からの摂取であれば体に負担がかからないため、体調悪化の心配も要りません。
かかりつけの医師や薬剤師に相談してから摂取する
妊娠中や授乳中にコエンザイムQ10をサプリメントから摂りたいと考えている方は、必ずかかりつけの医師やコエンザイムQ10に詳しい薬剤師に相談してください。
摂取が必要であるかどうかの判断には専門的な知識が必要です。医師や薬剤師の指示に従って適切な摂取を行ってください。
過剰摂取を控える
安全性が高いコエンザイムQ10ですが、摂り過ぎによって副作用が引き起こされる可能性があります。妊娠中や授乳中にサプリメントを利用する場合は、万が一のことを考えて摂り過ぎないようにしましょう。
1日の摂取量についていまだにはっきりとした答えが出ていませんが、医薬品の摂取量上限である1日30mgが目安になります。この量であれば安全であると厚生労働省が認めている摂取量です。