コエンザイムQ10とワーファリンの飲み合わせ
コエンザイムQ10がワーファリンの作用を低下させる
血栓が作られるのを防ぐ薬であるワーファリン(ワルファリンカリウム)は、コエンザイムQ10と相性が悪いとされています。
コエンザイムQ10には血液の凝固を促す作用があり、ビタミンKの血液凝固作用を阻害するワーファリンの作用を弱くするという指摘があります。
「血栓塞栓症」「心筋梗塞」「心房細胞」といった持病があり、ワーファリンを服用している方は、コエンザイムQ10の摂取に注意が必要です。
ビタミンKの働きを阻害するワーファリン
私たちの体内を流れている血液は「血液凝固因子」の働きによって固まり、出血してもすぐに血が止まる仕組みになっています。
この血液凝固因子のいくつかはビタミンKによって肝臓で生成されています。ワーファリンはビタミンKの血液凝固作用を阻害することで、血液をサラサラにして血を固まりにくくする薬です。
血が固まらなくなると出血が酷くなるなどの副作用が発生します。しかし、血栓が作られると虚血(局所的に発生する貧血)が起こり、さらには酸素や栄養が十分に行き届かなくなることで細胞の壊死にも繋がります。
そのため血栓ができやすい血栓塞栓症、心筋梗塞、心房細動などの持病がある方には欠かせない薬です。
血液の凝固を促すコエンザイムQ10
ビタミンKと似た働きをする
コエンザイムQ10には血流を整える作用があるため、単独の働きで血栓が出来やすくなることはありません。一方でビタミンKと似た働きをするため、血液の凝固を促す作用があります。
さらにコエンザイムQ10には心臓のポンプ機能を高めて、心拍出量(心臓が送り出す血液の量)を上げる働きがあります。血管を流れる血液の量が増えることで血液の凝固にも影響を与えます。
ワーファリンの作用を弱くする
このようなことからコエンザイムQ10とワーファリンを併用することで、ワーファリンの作用を低下させる可能性が指摘されています。
症例が少ないため、コエンザイムQ10の摂取量がどれくらいまでなら副作用が防げるかなどは明らかではありません。
ですが1日30mgという少ない摂取量でもワーファリンの作用低下が起こることから、併用にはかなりの注意が必要です。
血栓塞栓症や心筋梗塞といった持病がありワーファリンを服用している方は、コエンザイムQ10の摂取を避けたほうが良いでしょう。
- 【コエンザイムQ10がワーファリンの作用を低下させることを示す試験結果】
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ワーファリンを服用している血栓塞栓症患者3名に、コエンザイムQ10を1日30mg摂らせたところ、2週間後にワーファリンの作用が著しく低下することが確認されました。(参考元1)
それでもコエンザイムQ10とワーファリンを併用したい方は
一概に併用が危険という判断はできない
コエンザイムQ10によるワーファリンの作用低下は、あくまで理論上の可能性に過ぎません。一概に併用が危険とは言い切れないのです。
またコエンザイムQ10はもともと体内に存在する成分であり、非常に安全性が高く、副作用が少ないことが認められています。重篤な副作用の報告はほとんどなく、これまでに死亡事故は発生していません。
まずかかりつけの医師に相談する
コエンザイムQ10とワーファリンを併用したい方は、サプリメントなどからコエンザイムQ10の摂取を開始する前に、必ずかかりつけの医師に相談してください。
飲み合わせの判断には専門的な知識が必要で、自己判断は禁物です。併用は医師の指導のもとで行ってください。
併用を開始したら血液検査を受ける
コエンザイムQ10とワーファリンを併用する場合は、血液の凝固にどのような影響が出るか調べる目的で血液検査を受けてください。
少なくとも最初の2週間は頻繁に血液検査を行って、血液の凝固作用に問題がないか監視する必要があります。
ワーファリンの服用を優先する
もし血液の凝固作用が低下していることが分かった際は、ワーファリンの服用を優先してコエンザイムQ10の摂取を中止してください。血栓ができると血管が塞がって深刻な症状を引き起こす恐れがあります。
コエンザイムQ10がいくら体に良い成分だからといって、治療薬よりも優先して摂るのはお勧めできません。持病の治療を中止して体調が悪化してしまっては本末転倒です。
参考元1:医薬ジャーナル.2004; 40(9):134-7